生産性の向上に取り組むにあたってまず重要なことは、自社が何を目的とする会社かといった理念に立ち返り、その理念に基づいて、誰に、どのような価値を、どのように提供したいのかというコンセプトを確立し、そのコンセプトにあった手法を選択することです。
1.自社の理念に立ち返る
そもそも自社のサービスは何のためにあるのでしょうか、その理由をあらためて考えてみましょう。 例えば、「顧客の抱えている課題を解決するため」「地域社会の課題解決のため」「社会経済の変化への対応のため」等があります。これはビジネスを考える上で最上段に位置する大義であり、経営における哲学や理念になります。 自社の理念を見直すのであれば、「ニーズを見つけ出す」ことが重要です。現代では、モノもサービスも情報も溢れるほど豊富にあり、一昔前のように「冷蔵庫が欲しい」「テレビが欲しい」といった単純で明確なニーズを見つけることは困難になっています。 人々も「一体何が欲しいのか」と問われても、簡単には答えられないでしょう。 単純に既存サービスや商品を高機能化、高品質化しても、営業や宣伝に力を入れて知名度を上げても、消費者が求めていなければ、売上向上には結びつきません。「いまだ満たされていない社会のニーズ」を掘り起こしてみましょう。
2.事業コンセプトを確立する
では、自社が何を目的とする会社かといった理念を事業のコンセプトに落とし込むにはどうしたらよいでしょうか。「誰に」「どのようなサービスを」「どのように」提供するのかを考え、常に一貫させることが何よりも重要です。 顧客の属性によりサービスの内容は変わりますし、どのように提供すべきかについても変わります。逆に言えば、どのような方法でサービスを提供するかにより、そのサービスを使える顧客も変わってきます。また、その方法論は技術の進歩により変化しますし、顧客自身も技術や流行にあわせて変化しています。これらが一致できているかどうか、あらためて自社の事業コンセプトを確認してみましょう。
3.自社の現状を分析する
自社の強み・弱みや「ヒト・モノ・カネ・情報」といった経営資源の数量や質を把握することによって、自社が何を目標として、何に取り組めば良いかがより明らかになります。例えば、分析のツールとしてSWOT分析などのフレームを活用する等があります。
4.見直しとブラッシュアップ
事業コンセプトの設定とビジネスモデルは初めから正しく設定できてよい成果に繋がるとは限りません。 売上や利益等の事業成果、社会構造の変化や人々のライフスタイル変化、社会における技術革新等を踏まえて、常に見直しとブラッシュアップを図ることが重要です。 このようなアプローチは「仮説-検証-ノウハウ化」のサイクルであり、PDCA(Plan-Do-Check-Act)経営とも呼ばれます。ただ単に事業を進める、業務に取り組むのではなく、意識してこのサイクルをまわすことで、よりビジネスが発展していきます。